フランクフルトのあしだピアノ教室では、1歳からのプレピアノとピアノの個人レッスンを行っています。
先日こちらの記事で、ピアニストに語学力がどこまで求められるのか?という話をしました。
そして、どうすれば語学力を高められるのか、についても少し触れたのですが、もう少し具体的な勉強方法が知りたい!という方のために、あなたのドイツ語がいきなりうまくなる方法をお教えします。
バイリンガルも翻訳している?
最初に断っておきますが、ここでいう「ドイツ語がうまい」とは、ドイツ語で自分の思っていることを確実に相手に伝えられる、という状態を指します。
独検などの語学検定(特に日本のもの)を攻略する方法とはやや異なりますので(とはいえ無駄にはならないと思いますが)、その点だけご了承ください。
まず外国語で話す、ということはどういうことか、から考えてみましょう。
日本人がドイツ語で話をする時、まずは自分の言いたいことを日本語で認識してからそれをドイツ語に翻訳しているはずです。
「私はピアノを弾きます」だと
「私」→ ich
「弾く」→ spielen
「ピアノ」→ das Klavier
だから “Ich spiele Klavier” かな?という感じです。
上級者になると、いきなりドイツ語のフレーズが思い浮かぶということもあるかもしれませんが、それはこの翻訳作業が究極まで効率化された状態です。
バイリンガルの人も基本となる言語は1つで、もう1つの言語への翻訳が異常に速いだけという説もあります。
ですから、ドイツ語でペラペラ話せるようになるには、いかにこの翻訳作業を効率化するかがカギになってくるわけです。
日本語をかみ砕く
翻訳作業に時間がかかってしまうのは、思いついた日本語をそのままドイツ語に訳そうとするのが原因です。
素早く翻訳しようと思うと、すぐに日本語の文章をドイツ語に変換し始めてしまうものですが、その前に自分がそれを言おうとしている目的は何か?どう伝われば問題が解決するのか?を考えた方が早いことがあります。
たとえば予約時間に遅れそうで、タクシーの運転手さんに急いでほしい時。
「急いで」ってドイツ語で何て言うの・・・?
丁寧な依頼は接続法 II 式だっけ・・・?
などと考えていると時間がかかってしまいます。そんな時は、
“Entschuldigung, ich habe einen Termin um 10 Uhr. (すみません、10時に予約があるんです)”
と言えば、運転手さんに事情が伝わります。
つまり最初に思いついた日本語の文章をドイツ語に翻訳するのではなく、自分の持っているドイツ語能力で表現できるように、まず日本語の原文を最適化しようということです。
外国語であるドイツ語の記憶をあれこれ引っぱり出すよりも、母語である日本語を言い換える方がスピードとしては圧倒的に速くできます。これだったら絶対ドイツ語で言えるというレベルまで、日本語の原文をやさしくやさしく言いかえてみましょう。
簡単な文章ばかり話していて語学力が向上するのか?と疑問に思う方もいるかもしれませんが、まずは何よりも会話のテンポに乗ることが大切です。実際にテンポに乗れるようになると「しゃべれてる感」がぐっと出てきて自信もつきます。そうやって外国語で話すことへの抵抗感や恐怖感を取り除くことで、新たに習った語彙や文法もどんどん使えるようになってきます。
結論 まずは母語を鍛えよう
さらに翻訳のスピードを高めたいと思ったら、日本語の原文を言いかえる作業をさらに速くすることで実現できます。
日本語の言い換えを速くするには、日本語の語彙や表現が豊富であると有利です。
つまり外国語の勉強とは、母語を鍛える勉強でもあるのです。
ドイツ語学習歴は数年だったとしても、母語は人生を通じて学んできたもの。
外国語学習の土台はすでにある、そう思うとちょっと自信になりませんか?
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