フランクフルトのあしだピアノ教室では、1歳からのプレピアノとピアノの個人レッスンを行っています。
「自分のレベルではまだまだ」「手が動かない」「もうそういう年齢じゃない」という理由で留学をあきらめかかっているそこのあなた!
ピアノ留学はその気になればいつだってできますし、極端な話「ピアノを弾かない」ピアノ留学だってあるんです!
ぜひ「こうでなければ」という思い込みを捨てて、外の世界にチャレンジしてみませんか?
この記事があなたの背中を押すきっかけになれば幸いです。
先日の記事で、ドイツの音楽大学ピアノ専攻の年齢制限と語学要件について書きました。
この調査の結果、年齢で留学をあきらめる必要はない、という結論になったのですが、とはいえ大学に入るからには入試を受けなければなりません。
前回の記事にも書いたように、ドイツはクラシック音楽の本場であるばかりでなく、優秀な教授陣と大学の学費がタダという破格の条件が相まって、世界中から応募者が集まり、結果競争も激しいものとなります。
でも中には、音楽大学に行かなくてもいい、という方や、短期間だけ留学してみたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
個人レッスンでドイツへ留学することはできるか?
結論から言うと、できます。
しかしそのためには考えなければならないポイントがいくつかありますので、順に説明します。目的にかかわらず、ドイツへ留学しようと考えている人にとっては必要な情報ですので、お役に立てていただければと思います。
ドイツのビザ・滞在許可について
まず、ドイツでの長期滞在を考える場合に必ず考えなければならないのがビザや滞在許可の問題です。
現地の日本人も滞在許可のことをビザと呼んだりしますが、厳密には「ビザ (Visum)」と「滞在許可(Aufenthaltstitel)」は別のものです。この話をすると長くなるので省略するとして、まず知っておきたいのは日本人の場合はビザなしでドイツへ入国し、現地で滞在許可を申請する流れが一般的だということです。
① 90日までの滞在
日本人の場合、ビザや滞在許可を持っていなくても、ツーリストとしてドイツに90日まで滞在することができます。正確には「シェンゲン圏内に」90日滞在できることになるのですが、これについては後述します。
90日未満の滞在であれば、ドイツの住民票を取得する必要もありません。
逆に90日を超える滞在の場合は、90日が経過するまでに居住地を決めて、その居住地を担当する外人局に滞在許可を申請しなければなりません。
この90日の期間について気を付けなければならないのは、「直近180日のうち90日」という制限がついていることです。
たとえば7月1日にドイツに初めて入国したとしたら、90日後の9月28日まで滞在許可なしで滞在ができます。
しかし、仮にその前月の6月に1週間だけドイツに滞在歴がある場合、この7日間も90日にカウントされてしまうため、7月1日から連続して滞在できるのは9月21日までとなってしまいます。
さて、ここで先ほどの「シェンゲン圏内」の話に戻ります。
「シェンゲン圏内」とは、シェンゲン協定加盟国のエリア、という意味です。
ドイツを含め、EUのほとんどの国がシェンゲン協定加盟国になっており、日本人はビザなしで90日まで、複数のシェンゲン協定加盟国を(つまりシェンゲン圏内を)自由に行き来することができます。
通常シェンゲン圏内を移動する際に、国境でのパスポートコントロールはありません。
最初にシェンゲン圏内に入った国で入国スタンプが押されますので、シェンゲン圏内入国後、何日経過しているか、ということはパスポートで確認できます。
しかし90日のうち、どこの国に何日いた、ということはパスポートからはわかりません(シェンゲン圏内の移動では出入国のスタンプが押されないため)。もし事情があって各国の滞在日数を計算しなければならない場合は、自分で記録をつける必要があります。
つまり最初に「90日までドイツに滞在できる」と書きましたが、正確には「90日までシェンゲン圏内に滞在できる」ということになります。もしドイツ滞在の前後に他のシェンゲン協定加盟国に滞在する場合は、その日数をドイツ滞在の日数に加算するのを忘れないようにしましょう。
ここまで90日ルールについて説明してきましたが、何が言いたいかというと、日本人であれば90日までは、ビザも滞在許可もなく、ドイツに滞在できる=ドイツでピアノのレッスンを受けることができるということです。
この仕組みがあるからこそ、サマーコースなどの短期留学も可能になるわけですね。
ちょっとだけドイツの生活を味わってみたい、長期間日本を離れられない、という場合、この「90日」を目安にドイツへプチ留学してみるのもよいかと思います。
参考情報として、2023年7月現在のシェンゲン協定加盟国をまとめておきます。
オー ストリア、ベルギー、クロアチア、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、イタリ ア、ラトビア、リトアニア、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、 スイス
ドイツ滞在のためのビザ・滞在許可3つ
さて、ここまでビザや滞在許可のいらない滞在について説明しましたが、大学に留学する場合や、個人レッスンで1年くらい留学したい!という方のために、どのような滞在許可が必要になるかご説明します。
すでに書いたように、ビザと滞在許可は本来別物で、日本人はビザを取得せずに、ドイツに入国してから滞在許可を申請する流れが一般的と書きました。ですので、ここからもビザなしで入国することを前提として書いていきます。
日本人が就労以外の目的でドイツに来る場合、長期間ドイツに滞在するには主に以下の選択肢があります。
- ワーキングホリデービザ (1年まで、延長不可)
- ドイツ語研修のための滞在許可 (原則1年まで、大学に出願すれば2年まで)
- 学生用の滞在許可(大学に在籍する期間滞在が可能)
このうちワーキングホリデービザは「ビザ」という名前はついていますが、他の滞在許可と同様に、ドイツ到着後に現地で申請することができます。
まずはこの3つに共通する手続き「住民登録」について解説します。
まず住民登録をしよう
滞在許可を申請する前提として、ドイツの住所を登録する必要があります。
つまり、住む場所を決めてその住所を届け出なければならないということです。
この届出の期限は、入居後2週間とされています。ホテルやサービスアパートメントの住所で登録することもできます。
ただ、まずはホテルに泊まって現地で家探しをしようという場合は、(ホテル滞在期間にもよりますが)家が見つかってからその家の住所を登録した方が安全です。
というのも、ドイツで住民登録をすると自動的にドイツの納税者番号が付与されます。この納税者番号は、住民登録した住所に本当に住んでいるかの確認もかねて登録した住所へ送付されるので、その時点で転居やホテルをチェックアウトしているとこの手紙が受け取れなくなってしまいます。
納税者番号の手紙は転送が禁止されており、受け取れないと、最悪の場合住民登録が抹消されてしまいます(経験済み)。
長期滞在する住所で登録した方がいい、というのはこういう理由からです。
なお、納税者番号が付与されるといっても、短期滞在の場合はドイツで納税するわけではないので安心してください。
少し話は脱線しますが、まったくあてもなくドイツへ来てホテル住まいをしながら家探しをするのはとてもハードルが高いので、ある程度の長期滞在を考えているのであれば、事前に目星をつけてから来ることを強くおすすめします。滞在先の探し方についてはこちらの記事をご参照ください。
住民登録のためには、住居の貸主から入居証明書を書いてもらう必要があります。ホテルやサービスアパートメントに滞在している場合は、そのホテルや業者が入居証明書を発行してくれます。
パスポートと入居証明書を持って、住民局へ行き、住所を登録することになりますが、大きな都市の住民局はたいてい予約制になっていますので、事前にオンラインで予約を取ってから行きましょう。
住民登録自体は複雑な手続きではありません。場合によっては英語で対応してくれるところもあります。
質問もいくつかされますが、気を付けたいのは以下の2点です。
・家族状況
独身・既婚・独身・離別・死別のどれか?を聞かれます。独身以外の場合、婚姻証明書などを求められることがありますが、1人でドイツに住むのであれば証明書はなくても大丈夫です。1人で住むことを伝えてください。
・宗教
住民登録では必ず「宗教は?」と聞かれます。ここで重要なのは「キリスト教徒かどうか」ということです。というのも、ドイツではキリスト教徒は収入から教会税が差し引かれるからです。ですからキリスト教徒としてドイツで教会に通う意思がないのであれば(そもそもドイツで収入が発生しないのであれば)、「なし」と答えれば十分です。結婚式は神社だったけど、お葬式はお寺だし・・・などと深く考える必要はありません。
住民登録をすると、その住所によって担当する外人局が決まります。
次のステップとして、入国後90日以内に外人局へ滞在許可の申請をしなければなりません。
長くなったので、ここから先は次の記事にて解説します。
当教室のレッスンについてはこちらをご覧ください。