離れる勇気

まだまだ習慣の話を書きたいのですが、今日はまた横道にそれます。

インスタ投稿画像@ashidaklavier8

今日は自分のレッスンで、バッハのインベンションを見てもらいました。
フレーズの区切り方、装飾音の入れ方、テンポの揺れ、など
学校で習ったことと違う!ということがわらわら出てきて驚きます。

自分の習ったことから離れるのはなかなか勇気のいるものです。

留学生時代にVolkshochschuleで日本語を教えていたことがあります(なんでもやります)。
生徒さんはほとんどが社会人で、中に何科か忘れましたがお医者さんがいました。

毎回きちんと宿題をしてきてくれるのですが、いつも宿題の紙に「しゅはい」とたどたどしい字で書いてある。
「しゅくだい」が「しゅはい」に聞こえているのかな?と思いつつ、こう書くんですよ~と毎回赤字で直していた私。
生徒さんはなんだか悲しそうに微笑んでいました。

ある時、授業で私の好きな言葉というテーマになって、生徒さん1人1人に尋ねたところ、
その生徒さん曰く

「私の好きな言葉は『守破離』です」。

お恥ずかしい話ですが、それまで「守破離」という言葉を知りませんでした。

型を守り、型を破り、型から離れる。

そんな難しい言葉を知っているなんて、と自称(詐称?)日本語教師の私は真っ青に。

生徒さんが毎回宿題の紙にかいていたのが「しゅはい」ではなく「しゅはり」であったことに気づいたのはさらにその数年後(遅すぎる)。

あれってもしかして「しゅはり」だったのか!と何の脈略もなく思い出したのでした。

バッハの音楽は特に、「守」から先に進むのが難しく感じます。

でも、破っても離れても、バッハはバッハ。
そんな懐の深さを、少し覗けたような気がしました。

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