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先日立て続けにピアノ・アドベンチャーのレビューを書きました。

当時は導入書とレベル1の話が中心で、「はじめてのピアノ・アドベンチャー」について触れていなかったので、今回はその話をしようと思います。
「はじめてのピアノ・アドベンチャー」とは
ピアノ・アドベンチャーの導入書は、公式には6歳以上対象とされており、「導入書」にはまだ早いと思われる未就学の生徒さんのために作られたのが「はじめての」シリーズということになります。
「はじめてのピアノ・アドベンチャー」」は Book A, B, C の3冊に分かれており、さらにそれぞれ「レッスン・ブック」と「ライティング・ブック」の2冊に分かれています。
※以下のリンクはすべて「レッスン・ブック」のものです。
↑こちらが導入書
↑3冊に分かれた「はじめてのピアノ・アドベンチャー」シリーズ
「はじめてのピアノ・アドベンチャー」ブックA
「はじめてのピアノ・アドベンチャー」のブックAで扱う内容は以下の通りです(全音楽譜出版社の日本語版の巻末から引用しています)。
Book A ※ Book A はすべてプレ・リーディング譜で、五線譜は出てきません。
ピアノを弾く姿勢/鍵盤に親しむ/右手と左手・指番号/2つ・3つの黒鍵/手首の使い方/fとp/4分音符/3つの白鍵/2分音符/ト音記号とヘ音記号/全音符/音の名前/4つの白鍵/ドの5本指スケール/小節
ブックAはピアノのおけいこというよりもピアノを使ったアクティビティに近く、鍵盤の並びや手の形、強弱やリズムをゲーム感覚で学ぶ内容になっています。
全部で10のユニットに分かれており、ユニット1~4は指番号、鍵盤の並び、手首の使い方を中心に学びます。ユニット5以降で楽譜を見ながらメロディーを弾く練習が始まります。
「はじめてのピアノ・アドベンチャー」ブック A のよいところ
導入が丁寧
「はじめてのピアノ・アドベンチャー」ブック A は、ピアノ・アドベンチャーのテーマ曲(?)を聞きながら拍をとるところから始まります。
先生の伴奏に合わせた即興演奏や、1と3の指を「ドーナツ」にして鍵盤を弾いたりもしますが、基本的に前半は弾く時の手の形や指先、手首の使い方などを歌に合わせて練習する単元が続きます。
「ピアノランド」における「プレ・ピアノランド」をかなり凝縮したような内容です。
譜読みに入る前に、ピアノの弾き方についてじっくり準備練習ができるのはとてもよい仕組みだと思います。
音源が楽しい
ブック A のよいところは、ピアノ・アドベンチャー・シリーズに共通して言えることですが、音源がとても良いことです。
子どもの心をつかむようなメロディーやリズムで、BGMとしても楽しめる音源です。
「はじめてのピアノ・アドベンチャー」の音源はピアノ・アドベンチャーのアプリで無料で聴くことができます。(このリンクからは Apple 対応のアプリしかダウンロードできません)。
https://www.zen-on.co.jp/pianoadventure/support/app
刷り込み式に何度も繰り返し聞いていると、自分で弾く時に「この曲知ってる!」となり、モチベーションにつながることもあるようです。
特に「ゆびのかぞく」や「クッキーつくろう」はどの生徒さんも大好きで、指、手首の練習にもなるので毎回のレッスンに取り入れています。
よく、耳で聴いてから弾く習慣をつけると、譜面を読まなくなる、という話を聞きますが、年齢が進めば進むほど、譜読み力をつける方法は増えていきますし、言語と同じように、まず聞いて、あとからその音楽の仕組みを知る、という流れの方が自然なのではないかなと思います。
実際に、音源が好きで何度も聞いているという生徒さんは、拍感やリズム感がとてもしっかりしていると感じます。
飽きずに取り組める
教本には学習内容に関連したイラストも多いので、「これは何をしているんだろうね?」「どういう音かな?」と教材を見ながら話をふくらませることができるのも、この教本のよいところです。
ユニット4までは明確にステップアップしていく内容ではなく、どの順番でやっても成立するので、まだ自分の思うとおりに指を動かせない生徒さんの場合、ユニット4までの内容から都度ピックアップして、ピアノに親しむ時間を作っています。
ユニット5以降に進めるようになるまでは同じ課題を何度も繰り返しになるので、飽きないかなと心配になることもありますが、小さい生徒さんはむしろ同じ課題の繰り返しに安心感を覚えるようです。
ピアノ・アドベンチャーの ブック A は、少なくともユニット4あたりまでは「正しく行う」ことが目的になっていないので、楽しい音源と相まって、小さいお子さんには受け入れやすいのかなと思います。
同じ課題でも何度も飽きずに取り組めるというのはピアノ・アドベンチャー ブック A の大きなメリットです。
「はじめてのピアノ・アドベンチャー」ブック A の惜しいところ
よいところがたくさんあるピアノ・アドベンチャーの ブック A ですが、惜しいところもいくつかあります。
日本語訳の限界がある
「はじめてのピアノ・アドベンチャー」には「ピアノ・フレンズ」というキャラクターがいて、教本のあちこちに出てくるのですが、名前が英語圏のものなので、生活に英語がある環境でなければ大人でも覚えづらいです(「ラズルダズル先生」とか)。
最初に「ピアノ・フレンズ」の名前を憶えて、「さあ!ケイティと一緒にやろう!」とレッスンを進めていくコンセプトなので、フレンズの名前が覚えられなければ、せっかくの教本の良さを活かすことができません。
同様に、基本的に歌詞は英語の歌詞を和訳したもので、翻訳者の方もかなり工夫をされたと思いますが、それでもやはり日本語だと歌いにくいもの、小さいお子さんには難しいものもあります。
ユニット内の難易度にばらつきがある
「はじめてのピアノ・アドベンチャー」の ブック A は、特に最初の方のユニットは、低年齢のお子さんでも一緒にできる内容になっているはずなのですが、同じユニット内に「なぜいきなりここで?」と思えるくらい難しい課題が入っていたりします。
恐らく、オリジナルでは英語圏のお子さんにとっては耳なじみのあるメロディーだったり、替え歌や英語の言葉遊びになっていて子どもにも楽しい内容なのではないかなと思います。それをそのまま日本語訳にした結果、不思議な内容になってしまったのかもしれません。
そうした理由で私にとっては使いやすい単元と、使いにくい単元が混在しているような状態になっています。使える単元だけでも十分有意義ではありますが・・・。
Unit 4 から Unit 5 への飛躍が大きい
これは決してこの教本の問題ではないかもしれませんが、指を思い通りに動かせるようになるまでは(そしてそれくらいの年齢層のお子さんの理解力では)Unit 5 以降を「理解して」進めるのは難しいと思います。
Unit 5 からはプレ・リーディング譜を見ながらメロディーを弾くことになるのですが、四分音符、右手で弾く音・左手で弾く音の見分け方、両手が協力してメロディーを弾く曲、ドレミの音名、が出てきて一気にハードルが上がります。
Unit 4 までの内容をクリアしていれば Unit 5 も弾ける、という作りにはなっていません(というよりも、本来 Unit 5 以降理解できるレベルでこの教本を使うべきなのかもしれませんが)。
Unit 5 にはまだ早い、という生徒さんの場合、Unit 4 までの内容を繰り返すよりも、真ん中のドを連打するところから始める別の幼児向け教本の方が、「レッスンを受けている」「進んでいる」感は得られやすいと思います。
しかし、ピアノ・アドベンチャー・シリーズは「弾く技術」ではなく、ピアノを「教養科目」としてとらえ直したところが新しいメソッドだと個人的に思っていて、理解力が育つまでの多少の回り道は織り込み済みのような気がします。
プレ・リーディング譜が読みづらい
ブック A はすべてプレ・リーディング譜で書かれています。
ブック A では Unit 9 で初めて小節線が出てきます。そこまでは音符を並べただけの譜面なので、生徒さんとリズム打ちの練習をする時など、どこを叩いているのか迷子になることも(特に四分音符が並んでいる場所など)。
また、イラストがかわいいのは「はじめてのピアノ・アドベンチャー」の良いところでもありますが、プレ・リーディング譜が始まると、譜面とイラストの境目がなく、かえってイラストが「ノイズ」になってしまっている箇所もあります。
ブック B では大譜表が始まり、楽譜とそれ以外の区別もつきやすくなるので、ごちゃごちゃ感はだいぶ解消されます。
まとめ
今回は「はじめてのピアノ・アドベンチャー」のブックAについて書きました。
使いづらい点もありますが、それを上回るだけの魅力があり、この教本を使っている生徒さんはみんな喜んでレッスンに取り組んでくれています。
メロディーや内容がかわいらしい曲が多く、習った曲をお家でも歌っている、という声もよく聞きます。
使い方次第で、他の教本との組み合わせも可能なので、レッスンの新しいインスピレーションを得るために見ておくのもよいと思います。
「はじめてのピアノ・アドベンチャー」シリーズはブックA、B、Cそれぞれが個性的なので、続くシリーズについても追々書いていきたいと思います。

