フォーカル・ジストニアの初期症状?耳の〇を退治せよ!

フォーカル・ジストニアの初期症状

フランクフルトのあしだピアノ教室では、1歳からのプレピアノとピアノの個人レッスンを行っています。

以前いくつかフォーカル・ジストニアの記事を書いたのですが、過去を振り返ってみてこれも症状の1つだったのかな?と思うことについて少し掘り下げてみたいと思います。

これまでの経緯については以下の記事をどうぞ。

目次

フォーカル・ジストニアは壊れたレコード?

始めに断っておきますが、私は神経科医でも精神科医でもなく、ただの一介のピアニストです。

ここから書くことは医学的根拠は全くなく、単に私自身の経験と、それに基づく理解に過ぎません。

私のイメージ(あくまでイメージです)では、フォーカル・ジストニアは脳の中の回路が間違った回路に書き換えられてしまうことによって起こります。

今どきの人はレコードを聴いたことも見たこともないかもしれませんが、レコードはビニールの円盤にとても細かい間隔で溝が刻まれており、この溝をレコードの針がなぞることで音楽を再生する仕組みになっています。

このレコードに傷がつき、新しい溝ができてしまうと、針がそちらの溝に滑り落ちて、本来たどるべき溝から外れていってしまいます。

余談ですが、傷のつき方によっては、レコードの同じ溝を針がエンドレスで回り続けることになります。ここから、少し前の世代の人たちは、延々と同じことを繰り返して話すことを「壊れたレコードのように」と表現したりしたものです。

私がイメージするフォーカル・ジストニアとは、まさにこの壊れたレコードなのです。

フォーカル・ジストニアの初期症状?「耳の〇」とは?

ようやく本題に入ります。

フォーカル・ジストニアに悩まされている、フォーカル・ジストニアかもしれない、というそこのあなた。

頭の中で音楽がグルグル再生され続けることはありませんか?

自分で意識して何かの音楽を思い出そうとしているわけではなく、なぜそのメロディーが延々と流れ続けるのかもわからない、しかも止めようとしても止まらない、こういう状態をドイツ語では Ohrwurm(オーアヴルム)、英語では ear worm (イヤーワーム)と言います。直訳すると「耳の虫」となります。

Wurm や worm は虫の中でもミミズや芋虫のような細長い虫を指します。耳の中がもぞもぞして気持ち悪い、という状況をよく表していますね。

この「耳の虫」が起こる理由は定かではありませんが、音楽に触れる頻度とストレスとの関連性があると言われています。

私もしょっちゅうこの「耳の虫」に悩まされていたものの、音楽に携わるものであれば普通のことなのかな、と職業病のようにとらえていました。

しかしよくよく考えてみると、この「耳の虫」が出てくるときは、フォーカル・ジストニアの症状も強く表れていたのです。

もちろんそれだけ強いストレスにさらされていたというだけで、この2つの間に関連性はないのかもしれません。

でもどちらも「自分が意図していないことが自分の身に起き、それを止めることができない」という共通点があり、根底で何かつながるものがあるのではないかと考えました。

実際に意識的に「耳の虫」を止めるように心がけたところ、フォーカル・ジストニアの症状も改善されたように感じました。

「耳の虫」もフォーカル・ジストニアもストレスとの関連が指摘されています。

長年これらの症状に悩まされていると、ストレスから症状が起こるのか、その症状の存在がストレスになるのかがよくわからなくなってくるのですが、少なくとも「耳の虫」を止めることで、「耳の虫」に起因するストレスは排除できるようになったのです。

耳の平穏を取り戻すために

「耳の虫」を止める方法はいくつかあります。

  • その音楽を通して聴く
  • 別の曲を聴く
  • 他のことを考える
  • ガムを噛む
  • アナグラムを考える

などなど。「耳の虫」はたいてい楽曲の一部分だけが延々と繰り返されるので、その音楽を通して聴くことで解消されることもあるそうです。しかし長大なオーケストラ曲の一部が繰り返されている場合、曲を通して聴く時間がとれないこともありますよね。

私が一番効果を感じたのは、「アナグラムを考える」という方法でした。

アナグラムとは、一つの単語・文章に使われる文字を入れ替えて別の単語・文章を作る、というものです。

たとえば「くしかつ」を「しっかく」と読み替えたりする遊びのことです。

本来は読み替えた後の単語も意味があるものでなければならないのですが、重要なのは文字を入れ替える作業なので、私は5文字くらいの単語を適当に選んで、どんな並べ替えができるか頭の中で考えていました。

「おみそしる」を「みるそおし」とか「るみおそし」とかに変換していると、そのシュールさに気分も和んできます。

最初のうちは、アナグラムで気持ちを切り替えることができた、と思ってもまたひょっこり「耳の虫」が顔を出してくる、ということもあったのですが、何回か繰り返しているうちに「耳の虫」現象をさっとやり過ごすことができるようになりました。

まずはストレスの緩和から

頭の中で同じメロディーがグルグル回るようになったら。

指が思い通りに動かなくなったら。

自分には今大きなストレスがかかっているのだと自覚して、まずはしっかり休みましょう。

同じ体験をした人に話を聞いてもらうだけでも楽になります。ぜひ、当教室のオンライン相談も活用してくださいね。

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