フランクフルトのあしだピアノ教室では、1歳からのプレピアノレッスンと、ピアノの個人レッスンを行っています。
ピアノを習ったことのある方なら必ず一度は先生に言われたことのあるキーワード、「脱力」。
「手首の力を抜いて~」とか、「肩が上がってますよ~」とか、要は「力を抜いて」ということですね。
「脱力」の意味を理解させるために、生徒さんの腕を持ち上げてガシャーンと鍵盤の上に落とす、という話もよく聞きます。
でも、「脱力」が大切だからと言って、体全体の力を抜いてしまったらピアノの椅子から落ちます。
ですから、「力を抜いて」というのは、「必要な部分以外の力を抜いて」というのが正確なところだと思います。
しかし、必要な部分とはどこなのかがまずわからないですし、どのくらいの緊張は必要なのか、その筋肉は意識的に力を入れたり抜いたりできるのか、など考え始めると頭の中がぐるぐるしだして、脱力からどんどん遠ざかってしまいます。
こうした状況での考え方のポイントとしては、「手首に力が入っている」からと言って手首に問題があるわけではない、ということです。
いきなり突飛なたとえですが、あなたがどこかのカスタマーセンターに電話したところ、相手がまったくプロとは思えない対応だったとします。そうするとまずは、「このスタッフは大丈夫なのか?」とスタッフの適性を疑うかもしれません。
しかし、そのスタッフの対応が良くないのは、そのカスタマーセンターの研修が徹底していなかったからかもしれません。
そのカスタマーセンターの研修制度に問題があるのは、上層部がそのカスタマーセンターの重要性を低く見積もっているからもしれません。
またはその会社には研修にかけるだけの予算がないのかもしれません。
話を手首に戻しますと、手首の力が抜けないのは、手首のせいではありません。
手首に力が入るのは、手首を支えるべき他の箇所がきちんと仕事をしていないためです。他が助けてくれない、と思うから、手首が過剰にがんばってしまうのです。
手首の力が入っているからといって、手首をぶらぶら振っても問題は解決しません。
ピアノに限らず、「症状が出ている部分に原因もある」という考えが正しくないことが往々にしてあります。
力が抜けない、という時は、まずはお腹の支えができているかどうか確認してください。
余談ですが、中学生の頃に有名ピアニストのインタビューばかりを集めた本を地元の図書館で見つけ、何度も借りて読んでいました。その中で、ある有名なピアニストが、「子どものころに習ったことで一番役に立っている教えは、『食卓に向かう気持ちでピアノに向かいなさい』というものだ」というところが、とても印象に残っています。その当時はピンとこなかったものの、今ではとても的を得ていると思うようになりました。
ピアノのテクニックで行き詰ったときは、問題を別の角度から眺めてみましょう。解決の糸口は思わぬところにあったりします。
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