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先日ピアノ・アドベンチャーのレビューを書きました。

今回は、ドイツで人気のちょっと変わった初心者向けピアノ曲集を紹介します。
習い始めたばかりの生徒さんが、発表会で弾く曲がない!とお悩みの先生にもおすすめです!
ドイツの定番!初心者向けピアノ曲集「70のキーボード・アドベンチャー」
ドイツの楽譜屋さんにいくと、必ず何冊かストックされているのがこちらです。
“70 Tastenabenteuer mit dem kleinen Ungeheuer” というタイトルを直訳すると「70のキーボード・アドベンチャー ~小さなモンスターといっしょ」という感じでしょうか。
今気づいたのですが、ピアノ・アドベンチャーと「アドベンチャー」がかぶっていますね。偶然です。
第1巻と第2巻に分かれており、第1巻は真ん中のドの音だけの曲から始まり、そこから少しずつ音が増えていきます。
ピアノを弾くだけでなく、ハエを叩いたり(!)、息をふーっと吹いて風の音、グリッサンドで波の音、クラスターの即興演奏などかなり型破りな曲が並んでいます。
でも決して奇をてらっているわけではなく、じっくり見ると実によく考えられたテクニック曲集だということがわかります。
最初の数曲をちらっと解説
例として、第1巻の最初の5曲がどうなっているか見てみましょう。
1.「わたしとあなた」
わたし(右手)とあなた(左手)が交互に真ん中のドを弾きます。(親指の使い方)
2.「雨つぶ」
「あ・め・つ・ぶ」(原語は”Regentropfen”)という語りとピアノが交互に出てきます。(拍感)
3.「鐘の音」
ここまで出てくるのは真ん中のドの音だけです。この曲では右ペダルを踏んで、片手ずつ交互に鐘(ドの音)を打ちます。(腕を使った奏法)
4.「クロウタドリとミミズ」
クロウタドリに追いかけられるミミズが「ドレ」と「ドシ」で表現されています。「ミミズが穴に逃げ込むまで “ドシ” “ドレ”を弾きましょう」と指示があり、子どもは喜んで「ドシドレドシドレ」を弾きますが、これが1ー2の指のトレーニングになっているという仕掛けです。
5.「ノミのサーカス」
最初にこの曲を見た時は、シドレの3音でこんなにかわいい曲ができるのか!とびっくりしました。言うまでもなくスタッカートの練習ですが、小さいノミがはねるところをイメージすると、子どもたちも自然と指先に集中します。
これ以外にも、書かれていない音を推理しながら弾いたり、倍音のオバケが出てきたり、疲れすぎてだらーっとしてる音符があったり・・・。
なんとなく、ちょっと変わった曲集だということが伝わったでしょうか?
好奇心いっぱいの子どもにおすすめ
初心者向けと言いつつ、音符は普通のピアノ楽譜並みに小さいです。でも全体にかわいいカラーのイラストがついているので、小さい生徒さんはみんなパッと目を輝かせます。
「小さなモンスターといっしょ」という副題がついていますが、モンスターらしきものは出てきません。
恐らく、ピアノであれこれ実験をしたい子どもたち=モンスターなんでしょうね。
毎回「えっ、そんなことをするの?!」という驚きのアイディアが詰まっていて、子どもたちも楽しく取り組めるようです。
ピアノを始めたばかりの生徒さんでも、曲の仕組みを理解すればけっこう長い曲を弾くことになりますし、イメージがふくらみやすい曲が並んでいるので、発表会にもおすすめですよ!
実物を見てみたいけど、手に入らない!という方はぜひお気軽にご相談くださいね。