フランクフルトのあしだピアノ教室では、1歳からのプレピアノレッスンと、ピアノの個人レッスンを行っています。
ピアノの幼児教育というと、よく話題にのぼるのが「絶対音感」。
特殊な訓練を受けることで絶対音感がつきます、なんていうメソッドもあるようです。
結論から言いますと、ピアノを弾くのに絶対音感は必要ありません。
そして、絶対音感は良い音楽家の条件でもありません。
モーツァルトには絶対音感がなかったという説もあります。というのは、絶対音感とは、たとえば基準となる音(基準音)を与えられずに音を聞いたときに、「今のはラの音」などと音名を言い当てられる能力のことですが、ピアノの鍵盤の真ん中のラの高さが440Hzに統一されたのは1939年以降の話だからです。
モーツァルトは旅する音楽家で、行く先々でそこに置かれた楽器を弾かなければなりませんでした。当時は楽器や地域によって、ラの高さはバラバラだったので、もし強い絶対音感があったら、違う楽器で演奏するたびにとても気持ち悪い思いをしていたものと思われます。
ちなみに絶対音感とは、ドレミの音名を言い当てられる能力のこと、つまり一定の周波数の音を特定の音名に結びつけることができる能力のことです。よく、絶対音感があると人の話し声とかドアの閉まる音とかが全部ドレミで聞こえるとかいう人がいますが、生活音のすべてがはっきりした周波数を持っているわけではないので(いろいろな高さの音が重なっていたりするので)、これは話半分で聞いた方がいいでしょう。
絶対音感というと、必ず引き合いに出されるのが相対音感です。
相対音感は、たとえば「これが基準音ですよー」とドの音を聞かされた後で、他の音を聞いた場合に、今の音は基準音より長三度高く聞こえたからミの音だな、と判断できる能力のことです。
相対音感があると、移調が簡単にできます。たとえば歌の人の伴奏をするときに、ちょっとキーを下げて、なんていうリクエストにもすぐ対応することができて便利です。
これは私見ですが、相対音感のある人は、音と音との間の距離(音程)を聞くことにたけているので、フレーズを歌わせるのが得意であるように思います。フレージングにおいて、音程を感じ取る能力はとても大切だからです。
絶対音感があって、ぱっと音を聞いて「今のはレ!」と言い当てられるとそれはそれでかっこいいのですが、演奏家として活動する上では、絶対音感よりも相対音感の方が必要とされる場面が多いと思います。
絶対音感があると耳コピができるという話もありますが、相対音感があれば耳コピはできます。仮に聴こえた音楽がどの音で始まっているかわからないということがあったとしても、鍵盤上でいくつか音を鳴らして確認すればいいだけの話です。最初の音さえわかれば、そこから音程の変化を追っていくことで耳コピが可能です。
実際には、毎日ピアノの練習をしていれば、毎日ドレミの音を聞くことになるので、聴こえた音楽がどの音で始まっているかわからない、ということにはならないと思います。絶対音感とは、結局は記憶力の問題なのかもしれません。
そういうわけで、当教室では絶対音感の習得を目的としたレッスンは行っていませんが、小さいころからピアノに触れることで、「ピアノ演奏のために必要な音感」は必ず身につきますのでご安心ください。
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