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今回は、前回の記事に引き続き、ピアノ・アドベンチャーの導入書のレビューを書いていきます。


ピアノ・アドベンチャー導入書の日本語版はこちらです。
導入書の構成
導入書の対象年齢は、公式には6歳~とされています。
全体が10の章(Unit)に分かれていて、それぞれの単元が以下のようになっています(英語版を見ながら訳しているので、日本語版の題名とは正確に一致していないかもしれません)。
Unit 1:ピアノを弾いてみよう
Unit2:基本のリズム
Unit3:音名(ラシドレミファソ)
Unit4:五線譜の読み方
Unit5:真ん中のドレミファソ
Unit6:真ん中のドシラソファ
Unit7:五線譜上のスキップ(3度音程)
Unit8:低いドレミファソ
Unit9:タイ
Unit10:四分休符
Unit 1から3まではプレリーディング譜になっています。
Unit 4では真ん中のドから始めて、ドの次に右がソ、左がファと5度の音を最初に覚えます。
基本的に5指ポジションですが、1本指で弾いたり、移調やオクターブの移動も出てきます。
最初のプレリーディングで2つの黒鍵を2と3の指で弾くことになるため、ある程度手がしっかりしていないと弾くのが難しいです。
そういう意味でも早くても年長さんくらいから使い始めるのがよいかと思います。
黒鍵でメロディーを弾く
前半はまず黒鍵のグループの識別から始まり、指番号を見ながら黒鍵を使ったメロディーを弾けるようになっていきます。
先ほども書いたように、クラスターではなく最初から指を使って鍵盤を弾くことになっています。
私は個人的に初心者にクラスターで弾かせるのが好きではないので(あの響きが美しいと思えない)、最初から指を使って弾くところに好感を持っています。
とはいえ、黒鍵と黒鍵の間はかなり幅があるので、ある程度の手の大きさがないと、かなり無理な打鍵をすることになります。そういう意味でも、あまりにも小さい生徒さんに導入書はおすすめできません。
プレリーディングの問題
さて、「最初はプレリーディング」というのは親切な設計のようにも思えますが、私自身はプレリーディング譜が苦手です。
情報をできるだけ減らして、リズムと音の高低の動きだけを伝える、というコンセプトは理解できるのですが、基準となる線がないと高低の差がとても見づらいです。
メロディーの途中で左右の手の受け渡しがある場合も、単に私が五線譜に慣れてしまっているからかもしれません。
私の生徒さんもプレリーディング譜で苦戦して、五線譜になったらあっさり読めるようになったことがありました。
ですのである程度理解力のある生徒さんには最初からUnit 4から始めてもよいかもしれません。
しかしそうするとせっかく買った教本の半分を使わないことになるので悩むところです。
魔の三角地帯
五線譜(大譜表)に入ってからはまず5度の音が追加され、その後その間の音が追加されていく、という構成になっています。
右手はまずソの音、左手はファの音を教えることで、ト音記号とヘ音記号の意味も覚えることができます。
さらに、1と5の指を使った和音もでてくるので、手の平のアーチをまずはしっかりさせるという意味では、とてもよく考えられていると思います。
しかし教育的に有意義なことが子どもにとって楽しいか、は残念ながらまた別の問題で、ドとソ(あるいは左手のファ)しか出てこない曲が続くあたりはどの生徒さんもマンネリに陥るようです。
5度音程しか出てこない曲が5曲も続くと、表現の指導もアイディアが底をつきます。
逆にここさえクリアできれば、そのあとは割と曲らしい曲が出てくるので、生徒さんの様子によってはこの魔の三角地帯(五度ですが)は最速で通り抜けるようにした方がよいかもしれません。
次回は、アンサンブルの楽しみと意外なデメリット、さらに導入書の併用テキストである「テクニック&パフォーマンス」について書きたいと思います。