私のピアノ教師としての原点

フランクフルトにあるあしだピアノ教室では、ピアノの個人レッスンと、親子で音楽を楽しむグループレッスンを行っています。

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私は人口3万人ほどの田舎町の出身で、当時その街でクラシックのコンサートなんて1年に1回あるかないか、という状態でした。

一度(恐らく何かの間違いで)海外の著名な弦楽カルテットが公演にやってきたのですが、奏者が座る椅子がないからと、ホールの方がうちのピアノ用の椅子を借りに来られたのを覚えています。

その時にホールの方がぽろっとこぼされたのが、

有名な音楽家でも、うちみたいな片田舎の公演では手を抜くんだよね、という言葉。

プロの世界ってそんなものなのか、と思った記憶があります。

その後子ども向けのコンクールに出るようになって、その地域で「厳しくて有名」という先生に審査されることがありました。

自分の出番が終わって、客席でその先生の様子を見ていると、参加者の演奏中もものすごくつまらなそうな顔で椅子にもたれかかり、スカートについた糸くずをつまみあげたりしている。

子どもながらに思いました。

この先生はいったいどんなピアノを弾くのだろう?と。

そういった子どもの頃の経験が、私のピアノ教師としての原点になっていると感じます。

相手が誰であっても、どんなレベルであっても、尊敬を忘れないこと。

子どもの頃の自分が見た時に、いいねと思える先生でいたいと常に思っています。

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