フランクフルトにあるあしだピアノ教室では、1歳からのプレピアノとピアノの個人レッスンを行っています。
子どもの感性を育てるには音楽がよさそう・・・。と思いつつも、どうやって聴かせたらよいのか迷う親御さんも多いのではないでしょうか?
どうやって音楽を聴くかという正解はないのですが、もしお子さんに将来楽器を習わせようと思うのであれば、避けた方がいい聴き方があります。
それはずばり、「ながら聴き」です。
音楽にたくさん触れてほしいから、子どもが遊んでいるときにBGM として音楽をかけている、という方いらっしゃいませんか?それもしかすると逆効果かもしれません。
ながら聴きのメリットとデメリット
まず、ながら聴きのメリットとデメリットから考えてみましょう。
音楽を聴きながらだと、勉強や仕事がはかどる、という方がいます。何か作業をする時に、音楽に限らずラジオや YouTube を聞く人も多いでしょう。
私も家事をする時などに音楽を聞くことがありますが、効率の面から言うと音楽をかけない方が断然作業が早く終わります。
なぜかというと、音楽は表現のためのメディアだからです。作曲家が何か伝えたいものがあって書いているわけですから、どの音楽も基本的に聴き手に語りかけているのです。
誰かが「私の思いを聞いて!」と切々と訴えている、その横で作業をして効率が上がるはずがありません。人間誰しも、耳から入ってきた情報に対して無意識に反応してしまうものだからです。
音楽を聞きながらだと勉強や仕事がはかどる、というのは、誰かがそばにいてくれる気がするので1人の作業も寂しくない、というのが正確なところではないかと思います。その分長く机に向かえて、タスクを多くこなせるので、結果「はかどる」と思えるのでしょう。
ですから、効率の面では音楽をかけない方が良いとは思いますが、黙々と作業をする時に何か聞きながらした方が、長時間の作業も苦にならないという効果はあると思います。
子どものながら聴きをやめた方がいい理由
それでは子どもの場合はどうでしょうか?
子どもが遊んでいるときに音楽をかけると、手を止めて音楽に聞き入るか、遊びに夢中になって音楽を聞いていないかのどちらかになるかと思います。
音楽を聞きながら体を動かしたりするのは、音楽からのメッセージを受け取っている証拠なのでよいのですが、遊びに夢中になっていてまるで音楽を聞いていない時は、音楽をかけないことをお勧めします。
音楽は聴くもの、耳を傾けるものという意識が薄れてきてしまうからです。
積極的にイージーリスニングを書いている作曲家であれば別ですが、基本的にクラシック音楽の作曲家は、自分の書いた曲がBGM として使われるということは想定していません。
ベートーヴェンが現代にタイプスリップして、レストランで人々が自分の曲を聞きながら食事をしているのを見たら、怒りのあまり気を失うでしょう。それくらい作曲家は自分の作品に魂を込めています。
ながら聴きとは、そういう作曲家の思いをある意味聞き流しているようなものです。
もちろんどういうシチュエーションで音楽を聴くかはその人の自由です。
しかし子どもの感性を育てたいと思ったら、音楽からのメッセージの受け取り方を教えてあげる必要があります。
子どもが遊びに夢中で音楽を聞いていないのであれば、音楽は止めてしまった方がいいというのはこういう理由からです。
ながら聴きをしてもよいパターン
同様に、食事の時に音楽をかけることもおすすめできません。
子どもと音楽を聴く時は、子どもが音楽に耳を傾ける余裕があるときにした方が、確実に感性は育ちます。
とはいえ、著名なピアニストで「食事の時に常にショパンを聴いていました」とか「生活の中にいつも音楽がありました」という方がいるのも事実です。
ここで重要なのは、こうしたピアニストの方々は、自ら欲して音楽を聴いていたという点です。
食事をする間も音楽を聴いていたいという強い欲求が本人にあるのなら、それをあえて止める必要はないでしょう。
しかし、音楽をかけておいたら子どものためになるのでは、というくらいの気持ちでながら聴きをさせると、かえって逆効果になってしまう可能性があります。
子どもの聴く耳を育てよう
ちょっと音楽でも聴いてみようか、と音楽をかけてみて、子どもが反応するようであれば一緒に歌ったり踊ったりすればいいですし、そうでなければ音楽は止めてしまいましょう。
お子さんが音楽に集中する時間を作る、という意味では幼児向けのリトミックやプレピアノのレッスンを受けてみるのもおすすめです。
最初からすべてのお子さんが音楽に集中するわけではありませんが、継続しているとしっかりと音楽を聴く耳が育ってきます。
当教室のプレピアノでは、お父さんお母さんにもたくさん歌ってもらいます。なれ親しんだ声で歌ってもらうことが、何よりもお子さんに音楽の喜びを伝えることになるからです。
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